引用文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33426652/
中咽頭がんのリスクに関連する肉体関係のタイミング、数、タイプについて【論文紹介】
要約
背景
2000年代初めの症例対照研究では、ヒトパピローマウイルス関連中咽頭がん(HPV-OPC : human papillomavirus-related oropharyngeal cancer)がオーラルセックスパートナーの数に関連しているという明確な実態が示されている。最新のデータを用いて、HPV-OPCのオッズに関する新しい危険因子(性交開始行動、曝露強度、人間関係の力学)と血清学的マーカーを調査した。
方法
HPV-OPC患者群と頻度マッチングした対象群は、2013年から2018年まで他施設共同研究に登録された。参加者らは行動調査を完了した。様々な特性はカテゴリー変数のカイ2乗検定と連続変数のt検定を使用して比較された。調整オッズ比はロジスティック回帰分析を用いて算出された。
結果
合計163人のHPV-OPC患者と345人の対照が含まれている。生涯のオーラルセックスパートナーの数は、HPV-OPCのオッズの優位な増加と関連していた(10パートナーより多い場合:オッズ比4.3[95%信頼区間2.8-6.7])。オーラルセックスパートナーの数と喫煙を調整した後では、最初のオーラルセックスの年齢が若いこと(18歳未満 vs 20歳より上:調整後オッズ比1.8[95%信頼区間1.1-3.2])とオーラルセックスの強度(5 sex-years※より多い:調整後オッズ比2.8[95%信頼区間1.1-7.5])は、HPV-OPCの優位な増加オッズと関連したままであった。年上のパートナー(オッズ比1.7[95%信頼区間1.1-2.6])や婚外性交渉のパートナー(オッズ比1.6[95%信頼区間1.1-2.4])といった性的パートナーのタイプは、HPV-OPCに関連していた。血清学的にHPV16 E6タンパク(オッズ比286[95%信頼区間122-670])、および、任意のHPV16 Eタンパク(オッズ比163[95%信頼区間70-378])に対する抗体陽性は、HPV-OPCのオッズの上昇と関連していた。
※ sex-years: 1日あたりの性交渉の回数×性交渉をした総年数
結論
オーラルセックスパートナーの数は、依然としてHPV-OPCの強力な危険因子だ。ただし、オーラルセックスのタイミングと強度は新しい独立したリスクである。これらの傾向は、各個人にどのように、なぜ、HPV-OPCが発症してしまうのかに関する追加的なニュアンスを与えている。
まとめ
・HPV関連中咽頭がんではオーラルセックスのパートナーの数はやっぱり危険因子。
・この研究では、リスクのある性的活動として、さらに以下の2点が危険因子として抽出された。
①オーラルセックスを始める年齢が若い
②オーラルセックスが高頻度かつ/または期間が長い
・HPV関連中咽頭がんにはHPV16が関与している。
中咽頭がんは男性に多く、喫煙によりリスクが上がることはよく言われています。
この論文では、HPVにより発生する中咽頭がんが紹介されています。
HPVは女性だけの問題ではないのです。
HPVワクチンによりHPVが予防できれば男女を問わず中咽頭がんを減らせる可能性がある。
これはこの論文が示す、もう1つのメッセージです。